LED照明を家に取り付けるのは今やマストになっています。
しかしLED電球は「暗い」。
LEDダウンライトは「眩しい」。
なんだか「冷たい」。
そう感じることも少なくありません。
LEDは、今や、使われていないことの方が珍しいのかもしれませんが、LED照明を選ぶ時にそういった悩みを回避できるポイントがあります。
少し、LEDの特徴や性質を理解していると照明選びに悩むことが少なくなりますよ。
家づくりの取り組み
LED照明を取り入れる時に知っておくべき基本情報
まず、LEDとは何なのかというところです。
LEDは発光ダイオードの事で、簡単に言うと人為的に電気を流すことによって発光する半導体の事です。
LEDは、そのものが発光するため、発光効率が良く、構造的にも省エネな照明器具です。
白熱電球や蛍光灯などは、多くの電力が熱に変換されるので、発光効率が悪く、無駄がありました。
この熱の中にいは、人体に有害である紫外線や、赤外線などを含みますが、LEDは熱をほとんど出しません。
紫外線や赤外線が含まれず、安全な光だと言えます。(照明器具による差あり。)
しかし、LEDを導入する時には知っておくべき項目があります。
LEDの不満を回避するすべ
- 形や構成を調べる
- 演色性が気になるなら「Ra」をチェック
- 明るさはワット(W)ではなくメルーン(lm)で判断
- 理想の照明の色を理解する
- LEDは肌で感じにくい
- 加齢により照明の好みの変化
形や構成を調べる
照明を買う上で、注意しておいた方が良いのは、LED照明の形や構成です。
LEDは直接、可視光線を作り出すことができる照明器具です。
電磁波のうち、人の目で見える波長の事です。
目で見えない波長には紫外線などがあります。(不可視光線)
白熱電球は熱の波長から、可視光線を作り出しています。
電力のほとんどが熱に変換されますが、その変わり可視光線の方向性が360度全方向に広がり、周囲を明るく照らします。
一方、LED電球は、電力の半分程度(照明器具による個体差あり)で、直接可視光線を作り出すことができるのですが、そのため、光が向かう方向が決まっています。(指向性という)
なので、LEDダウンライトのような埋め込まれている照明器具などでは、真下が一番明るく感じます。
また、天井に光が広がりません。
人は無意識に明暗を周囲の明るさから感じ取っているので、全体的に部屋を見渡すと暗いと感じることもあります。
LEDシーリングライトでも、LED電球の配置や並べ方、照明器具の構成次第で光を強く感じたり、弱く感じたりすることがあります。
指向性があるので、取り付ける場所や角度によっては若干、光の見え方に違いがでることを心に留めて置いてください。
演色性が気になるなら「Ra」をチェック
光に照らされたものの見え方です。
太陽光(自然光)を基準として考えられています。
その理由は、太陽光は目に優しい上、服や肌などの見た目が変化しないためです。
照明は人工的に作り出すものなので、太陽光に近ければより美しく、正確な色が目に見えるので、優れているとされています。
例えば病院や美容院などは、肌の色など、照明具合によって違いがあっては困ります。
より正確性を求めた時に、客観的に判断できるように、CIE(国際照明委員会)では、演色性を数値化して基準を設定しました。
日本でもそれに合致するようにJIS規格(JIS Z 8726 )が定められています。
これを演色評価数と言います。
この演色評価数には「平均演色評価数」と「特殊演色評価数」があります。
平均演色評価数
「平均演色評価数」は、平均演色評価数は8色の色票(R1~R8)を用いて評価します。
Raを使って表すことが一般的で、自然光がRa100と表されます。
この自然光のRa100に近いほど、自然光が当たった時と同じ色を再現しています。
一般家庭ではRa80以上のLED照明を使う事を推奨されています。
特殊演色評価数
「特殊演色評価数」は平均演色評価数に含まれない7色(R9~R14、R15)の試験色の色票を用います。
LED照明は、彩度の高い赤色(R9)や、15番目の試験色である日本人の肌の色を表す試験色(R15)を、再現することが難しいとされてきました。
今は、技術が進歩し、Ra85のものが当たり前な物が多いです。
LED照明は様々な色のLED電球を組み合わせられるので、演色性に関してもより高い物を求めることができます。
一般的な蛍光灯はRa60程度ですので、もし気になるようなら「Ra」をチェックしてみてください。
客間や玄関など、顔色が気になるようなところに設置する場合には「R15」を取り入れると、お互いの顔色もよくうかがえます。
明るさはワット(W)ではなくメルーン(lm)で判断
よく、明るさをチェックする時「○○W」という表記を見たことがありませんか?
昔は、明るさを表す時にWで表していたのですが、メーカーによって測定方法が異なることから、光の感じ方にバラつきがありました。
LED電球を選ぶ時は、「○○W相当」という表記も見られますが、メルーン(lm)で明るさを判断してください。
照明器具から発せられる光の束の量です。
でも、私たちが気になるのは光の量ではなく、照らされた場所の明るさですよね。
光に照らされた場所の明るさをLx(ルクス)と呼びますが、照明器具にこの表記がないのは、照明器具の高さや測定する位置がバラバラなため、lmでの表記となっています。
白熱電球のワット数 | 同じ明るさのlm |
---|---|
60W | 810lm以上 |
40W | 485lm以上 |
30W | 325lm以上 |
20W | 170lm以上 |
畳数 | 明るさの目安lm |
---|---|
4.5 | 2700lm |
6 | 3200lm |
8 | 3800lm |
10 | 4400lm |
12 | 5000lm |
14 | 5600lm |
理想の照明の色を理解する
人は、空間の明るさをとらえる時に、周りの壁や床などを総合して無意識に明るさを判断しています。
そこで重要なのは照明の色です。
照明の色には「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」の5つあります。
その照明の光の色の単位をK(ケルビン)で表します。
照明に温度はないですが、人は色からも寒い、温かいっといった情報を取り込みます。
光の強さや温度とは関係ないですが、この目には見えない感覚を数字で表すために色温度が考えられました。
例えば、電球色を選ぶと全体的に暗くはなりますが、暖色系なので、温かみのある光となります。
昼光色を選ぶとよりはっきり、明るい印象になりますが、色味が青白いので、寒いっといった印象を受けやすくなります。
この感覚を色温度と言います。
色温度 | 単位(K) | 色のイメージ |
---|---|---|
電球色 | 2700~3000K | 暖色系(オレンジ色) |
温白色 | 3500K | 薄いオレンジ色 |
白色 | 4000~4200K | 白に近いオレンジ色 |
昼白色 | 5000K | 白色(太陽光) |
昼光色 | 6500K | 青白い色 |
LED照明は肌で感じにくい
LEDの光は「冷たい」「温かみがない」っと感じる人もいます。
白熱電球や、蛍光灯は熱を発する照明器具なので、温かみがあるというか、実際に肌でも熱を感じて温かいと感じやすいです。
演色性では太陽光(自然光)が一番優れている光だとされていて、LEDは紫外線や赤外線など目に見えない光(不可視光線)が含まれていません。
一方、太陽はこの不可視光線が含まれる自然な光です。
身体には良い光で、熱も体では感じない光なので、太陽光と比べるとなんとなく寂しい、冷たい光だと受け止めてしまっているのかもしれません。
照明を考える時にLx(ルクス)、lm(ルーメン)、色温度(K)、また、演色性に関してもお話ししましたが、LED電球の光の性質的に電球に劣る部分があるとすればこの肌で感じる性質ではないでしょうか?
温かみを考えるなら、色温度を少し上げておくと良いのかもしれませんね。
加齢による照明の好みの変化
人は年齢による視力の低下で、歳をとる程、明るい光が必要になってきます。
4~5年後の事を考えてワンランク上の畳数を照らせる照明器具を選んだ方が賢明です。
また、調光付きのLED照明を選ぶと暗いと感じ取った時に調節することができます。
LEDを選ぶ時の「回避術」まとめ
LEDは、省エネで人の体にも悪影響がない光です。
最も物が正確に見え、美しく見る光を作り出すこともできます。
より、自然な照明具合、肌の色が気になるなら演色性があるLED照明を選ぶ事でより満足する照明を手に入れることができます。
しかし、LED電球は光の性質上、周囲を均一に照らすものではないので、LED照明のLED電球の配置や形状などが重要になってきます。
LED照明に限らず、色温度や照明の強さには好みがあるので、色と明るさを照らし合わせながら選んでみてください。