畳の使用環境も変わり、和室をドンと構えるのではなく、ユニット畳のように、省スペースで移動可能な和室も増えました。
また、畳を家に取り入れる時、大きさや使用環境に関わらず重要なのは畳の素材選びです。
畳といえば「イグサ」というイメージがありますが、現代では畳の素材も色々な物でできています。
素材によってメリット、デメリットがあるので、何が良いのか迷った時に、参考にしてください。
家づくりの取り組み
【畳の基礎知】識構造は3構成とシンプル
畳の構造はとてもシンプルです。
畳は、「畳床」という土台にイグサを編み込んだものを巻き付けます。(肌に直接触れる部分ですね。)
このイグサを編み込んだものを「畳表」っと言います。
そして、畳表を「畳縁」という布で囲い、端止めをします。
現代では畳縁があることで部屋のデザインとマッチしないことがあるので、琉球畳のように畳縁がないものあります。
住まいの便利が考えられ、畳表に使われる素材も色々増えましたが、この基本的な構造は変わりません。
畳表の素材では、畳本来の味が生かせる「イグサ畳」。
イグサのデメリットを克服した「和紙畳」。
ビニール素材で作られた「樹脂畳」があります。
素材によってそれぞれ特徴や肌触りが違うので、よく検討してみてください。
- 畳は「畳床」「畳表」「畳縁」の3構造でできている。
- 畳表の素材には大きく分けて「イグサ」「和紙」「樹脂」でできたものがある。
和紙畳とは
畳表が和紙でできています。
和紙の作り方には2種類あります。
1つは手すき和紙でコウゾやミツマタなどの植物から作られる和紙です。
もう1つは、機械すき和紙で、主な原料は木材パルプを原料として作られます。
一般的なイグサを使う畳は天然素材なので、天然素材ならではの良さがありますが、和紙畳もイグサに近い風合いがあります。
紙でできていると耐久性はどうなのか気になりますが、表面を樹脂でコーディングしています。
表面をコーディングしているので、撥水効果や傷、汚れに強くイグサの弱点を克服した畳となっています。
DAIKENの和紙畳やLIXILのユニット和紙畳は機械すき和紙で作られていて、昔ながらの手すきによる和紙の製造方法を機械で作るようにしました。
機械で作ることにより品質も均一にでき、大量生産もしやすく、価格も抑えられ、色もバリエーションが多いです。
それをこコヨリ状に加工し、パイプ状の和紙を編み込んで畳表が作られています。
イグサと和紙畳を比較
比べた項目 | イグサ畳 | 和紙畳 |
---|---|---|
値段(1枚当たり) | 3000円前後 | 6000円前後 |
ダニ・カビの発生 | 発生しやすい | 発生しにくい |
耐久性 | 低い | 丈夫で長持ち |
メンテナンス性 | しにくい | お手入れしやすい |
弾力性 | 柔らか | やや硬め |
変色・色あせ | しやすい | あまりしない |
床暖房との相性 | 悪い | 良い |
イグサの香り | する | しない |
色柄の種類 | 少ない | 豊富 |
1枚あたりの価格が高い
和紙畳はイグサ畳より値段が高いです。
買う畳にもよりますが、およそ2倍の差があります。
ダニやカビが発生しにくい
ダニやカビが発生する条件としては、湿度、温度、エサ(栄養)などの3つの条件が揃うと発生しやすくなります。
イグサの畳は湿気が溜まりやすいですが、吸湿・放出性がイグサの3倍ほど高いので、ダニやカビの発生を防いでくれます。
耐久性が高い
イグサ畳は傷に弱く、劣化してくるとぽろぽろとイグサが剥がれてきますが、和紙はその心配がありません。
イグサ畳の約3倍程度の耐久性があるので、ひっかき傷や摩擦によってササクレができないので、小さい子供やペットがいる家庭に適しています。
和紙畳は、樹脂コーティングによって強度を強化しているので、今までササクレが出るのが嫌でイグサ畳の上にカーペットを敷いてしまっているって人にもおすすです。
しかし、畳を長く使うには畳替えなどメンテナンスも重要です。
畳替えには経過年数によってメンテナンス方法が3種類あります。
畳替えには、畳の表裏を裏返す「裏返し」。
「裏返し」の次は畳表を取り換える「表替え」。
「表替え」が終われば、畳はもう寿命なので「新調」します。
イグサ畳 | 和紙畳 | |
---|---|---|
裏返し | 3年経過 | 10年経過 |
表替え | 5年経過 | 20年経過 |
新調 | 約10年後 | 約20年後 |
畳は消耗品なので、メンテナンスが必要な物ですが、一般的なイグサの畳の寿命は10年程です。
一方和紙畳は20年と長寿命なので、交換頻度も少なく、長期間使うことができます。
ライフサイクルコストも少ないので、和紙畳は高いですがトータル的に考えれば安く済むかもしれません。
メンテナンスがしやすい
和紙畳は樹脂コーディングされているので、イグサだと吸収してしまうような水分も弾いてくれます。
水分がしみ込んでシミになったりすることなく、お掃除もふき取るだけで良いので簡単です。
弾力性が劣る
イグサは植物でできているので、肌あたりがよく、踏み心地も柔らかですが、和紙畳は紙なので若干硬いです。
また、耐久性は高いですが、イグサより硬いのでへこむと元に戻りにくいです。
触れ心地が一番良いのは、やはりイグサですね。
変色・色あせしにくい
イグサを使った畳は、最初は青々とした色合いでも次第に黄色へと変わってしまいます。
なので、日光が当たる部分だと特に日焼けや変色がしますが、和紙畳は紙なので、変色や色あせがしにくいです。
イグサは床暖房やこたつなどの温度や湿度の変化により傷みやすく、変色や色あせをする恐れがありますが、和紙畳であれば床暖房対応のものがあります。
また、家具などを置いているとその部分だけ緑色だったりしますが、そういった心配もありません。
床暖房との相性が良い
イグサは熱を伝えにくいので、冬のヒンヤリした空気を床から遮断してくれます。
これはメリットでもあるのですが、熱が伝わらないので床暖房との相性が悪いです。
和紙畳は床暖房対応のものがあるので、相性が良いです。
イグサの香りはしない
畳と言えば、イグサ独特の香りが特徴でもあります。
イグサの香りにはリラックス効果があり、集中力を高めてくれたりといった効果もあります。
なので、子供部屋などにはイグサ畳は最適です。
イグサのニオイが苦手な人もいると思うので、そういう人にとってはメリットにもなります。
イグサのニオイはアロマでも化学的に表現しにくいようなので、どうしてもイグサのニオイが欲しいと言う人は、置きイグサなどを買うと良いです。
色柄も豊富
色柄は、好みにもよりますが、イグサ畳は天然素材であるため、緑色がほとんどです。
色が付いたものもありますが、イグサ以外の素材でできていることもあるので注意してください。
一方和紙畳ですが、機械すき和紙で作られた畳は、扱いやすく、大量生産できるので色柄共にバリエーションがあります。
ダイケンでは、楽天市場で、和紙畳の無料でサンプルを取り寄せることができます。
気になったら畳表28種類、畳縁15種類の無料サンプル請求をしてみてください。
和紙畳はイグサのデメリットを克服し畳の良さを生かしたハイブリッド畳だった
和紙畳は、イグサ畳の外観や触り心地や機能を再現しつつ、樹脂コーティングで耐久性をアップするなど、長寿命化にも成功しています。
和紙は加工こそしますが、天然素材で、人体にも安全で、自然が持つ味わいが感じられます。
イグサのデメリットを克服した畳こそが「和紙畳」です。
値段はイグサ畳の2倍しますが、耐久性にも優れ、長寿命なので、ライフサイクルコストを減らすことができます。
しかし、長寿命だからと言ってメンテナンス不要というわけではないので、上手に畳と付き合っていきたいですね。